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コラム

2025.06.06

活版印刷の技術が光る「不思議の国のアリス」メッセージカードの印刷舞台裏

活版印刷ドットコムでは日々、名刺やはがきなどさまざまな印刷物を手がけています。
その中には、長年の職人でも頭を悩ませるような、技術が試される難しい案件なども少なくありません。

今回ご紹介するのは、そんな印刷のひとつ。
「豆本ドールハウス」様からご依頼いただいた、『不思議の国のアリス』をモチーフにしたメッセージカードです。

世界中にファンの多い不思議の国のアリスシリーズの挿絵に、文字や細かい装飾を加えたこちらのデザイン。
91×55mmの名刺サイズの中に、その世界観がギュッと詰め込まれています。
ひと目で「かわいい!」と思っていただけるような、繊細で魅力的な仕上がりになりました。

しかしこの可愛らしい見た目とは裏腹に、印刷工程には高い難易度が隠されています。

活版印刷が苦手な「細い線」と「ベタ印刷」

今回の印刷の難しさは活版印刷で苦手とする『細い線』『ベタ印刷』の2点。
さらに今回はこの2つの要素が同じ1版の中で組み合わさったデザインということ。

活版印刷でベタ印刷をする場合、通常よりもインキを多めに使ってムラを防ぐのがポイント。
逆に細い線で構成されたデザインは、インキを控えめにして繊細さを保つ必要があります。

ただし今回はその二つが共存しているデザイン。
インキ量を増やすと細い線は太り、細い線を優先するとベタ部分がかすれてしまいます。
バランスを見ながら、どちらも美しく仕上げるには、職人の経験と技術が欠かせません。

印刷に用いた活版印刷用凸版。この凹凸感が活版印刷の凹みを作っています。

今回はさらに、きらめく箔押し加工も加えられた豪華な仕様。
繊細なデザインに対応できるよう、日頃からお付き合いのある協力会社様とも相談を重ね、万全の体制で臨みました。

途中印刷のトラブルもありましたが、納期にはしっかり間に合わせてお届けできたのが、こちらの仕上がりです。

※各事例紹介ページへのリンクがございます

今回のカードには、当サイト標準色の中から「ルビーレッド」「ロイヤルブルー」「ダークグリーン」の3色を使用。
どれも深みのある色味のインキで、ツヤを消したマットで上品な箔押しと相まって、クラシカルな雰囲気を演出しています。

印圧(印刷の圧力)は強くかけすぎると細部が潰れてしまうため、適度な圧で仕上げました。
それでも、活版印刷や箔押しならではの凹凸感はしっかりと感じていただけるはずです。

ぜひ手に取って、細部までじっくり眺めて楽しんでいただきたい一枚に仕上がりました。

ロイヤルブルーの裏面。ベタもきれいに乗っています。

イメージ通りの活版印刷は「相談」が鍵

今回のご依頼では、印刷時の注意点を事前にお客様と確認しながら進めました。

活版印刷は、一般的な「印刷」と呼ばれるオフセットやオンデマンド印刷とは異なる、少し特殊な印刷方法です。

細い線の印刷やベタ印刷はあまり得意としませんし、
同じデザインや版を使用しても、紙やインキによって仕上がりが異なります。
年間1000件以上の活版印刷を見る私達でも、仕上がりのイメージがつきにくいものや
データ通りに線や文字が印刷できるか、試してみないとわかりにくいものなどもございます。

こういった場合には考えられる印刷の注意点について事前にお客様へご連絡し、
過去の事例の画像を送ったりするなどして、ご確認やご了承をいただいた上で印刷をさせていただいています。

当サイトでは日々さまざまな印刷物についてのご相談をいただいております。

「これを活版印刷で印刷できるかな?」
「他社で断られた加工の仕様だけどどうしてもチャレンジしてみたい」
「こだわりのデザインをどうしても印刷したい」

そんなお悩みをお持ちの方、ぜひ一度ご相談ください。
できる限りご希望に近づけるよう、最適な方法をご提案させていただきます。

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